Qualcommの最新PCプロセッサ「Snapdragon X Elite」を搭載した初のデスクトップ型デバイス、「Snapdragon Dev Kit」が米国の小売業者Arrowによって8月23日の発売予定で899ドル(約14万円)の価格で掲載されました。これは一般消費者向けの製品ではなく、Windows on ARM向けのソフトウェア開発やテストを行う開発者のための公式キットです。
Snapdragon Dev Kitの特徴と仕様
Snapdragon Dev Kitは、20×17cmのサイズで一般的なミニPCよりやや大きめの小型フォームファクターを採用しています。最大の特徴は、最新かつ最速のSnapdragon X Eliteプロセッサ(コードネーム:X1E-00-IDE)を搭載していることです。
主な仕様
- プロセッサ:Snapdragon X Elite (X1E-00-IDE)
- CPU:12コアOryon 3.8GHz(デュアルコアブースト時4.3GHz)
- GPU:Adreno(4.6 TFLOPS)
- NPU:Hexagon(45 TOPS)
- メモリ:32GB LPDDR5x
- ストレージ:512GB NVMe
- ポート:USB-C×3、USB-A×2、RJ45×1、3.5mmオーディオ、HDMI
- ネットワーク:Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4
- 重量:970g
- サイズ:199 × 175 × 35 mm
Snapdragon Dev Kitの意義と課題
このデバイスは899ドル(約14万円)という比較的高価な価格設定で、一般ユーザーには実用的とは言えません。しかし、Windows向けのARMネイティブアプの開発を目指す開発者にとっては必要な投資となる可能性があります。
一方で、Snapdragon X Eliteシリーズを搭載したラップトップの人気はまだ高くなく、1000ドル以上(約16万円)の価格帯では普及の障壁となっています。Qualcommは開発者向けにこれらのデバイスを無償提供するなど、普及戦略の見直しを検討する必要があるかもしれません。
Qualcomm Snapdragon Xシリーズの仕様一覧
モデル | コア数 | 最大周波数 | デュアルコアブースト | Adreno GPU (TFLOPS) | Hexagon NPU (TOPS) |
---|---|---|---|---|---|
X Elite X1E-00-1DE | 12コア | 3.8 GHz | 4.3 GHz | 4.6 TFLOPS | 45 TOPS |
X Elite X1E-84-100 | 12コア | 3.8 GHz | 4.2 GHz | 4.6 TFLOPS | 45 TOPS |
X Elite X1E-80-100 | 12コア | 3.4 GHz | 4.0 GHz | 3.8 TFLOPS | 45 TOPS |
X Elite X1E-78-100 | 12コア | 3.4 GHz | – | 3.8 TFLOPS | 45 TOPS |
X Plus X1P-64-100 | 10コア | 3.4 GHz | – | 3.8 TFLOPS | 45 TOPS |
まとめ
Snapdragon Dev Kitの登場は、Windows on ARMエコシステムの発展に向けた重要な一歩と言えるでしょう。開発者がこのキットを活用することで、より多くのARM native アプリケーションが生まれ、ユーザーエクスペリエンスの向上につながることが期待されます。
一方で、価格や普及戦略については課題が残されており、Qualcommがどのようにこれらの課題に対応していくかが注目されます。ARM搭載Windowsデバイスの未来は、このSnapdragon Dev Kitの成功にかかっていると言っても過言ではないでしょう。