半導体業界に激震が走っています。クアルコムのクリスティアーノ・アモンCEOがインテルに買収を打診したという報道が、ウォール・ストリート・ジャーナルをはじめとする複数のメディアで伝えられました。この驚きの展開により、両社を巡る買収劇は新たな局面を迎えています。
買収構想の背景
クアルコムは当初、インテルのチップ設計部門の一部買収を検討していましたが、その後全面買収の可能性も浮上しました。アモンCEO自身が交渉に関与し、インテル全体または一部の買収について協議を行ったとされています。しかし、この大胆な構想には多くの障壁が立ちはだかっています。
買収実現の3つの大きな障害
1. 巨額の資金調達
インテルの現在の企業価値は約980億ドル(約14兆2,100億円)に達しています。一方、クアルコムの手元資金は130億ドル(約1兆8,850億円)、時価総額は1,900億ドル(約27兆5,500億円)程度とされており、買収資金の調達は容易ではありません。
2. 米国の戦略的利益
インテルは米国にとって戦略的に重要な企業です。両社の関係性を考慮すると、米国政府が承認しない限り、クアルコムによる買収は困難でしょう。
3. 規制当局の審査
仮に買収が実現しても、クアルコムは厳しい規制審査に直面することが予想されます。
今後の展開
インテルはバイデン政権からの資金援助や投資グループからの出資など、新たな資金源を確保しつつあります。この買収劇がどのように展開していくか、業界関係者の注目が集まっています。半導体業界の勢力図を大きく塗り替える可能性を秘めたこの構想。しかし、現時点では実現性は低いと見られています。今後の動向に引き続き注目が集まりそうです。