カプコンは2025年2月28日発売予定の『モンスターハンター ワイルズ』に向け、2月6日から9日にかけて第2弾オープンベータテストを実施しました。Steam版では初日の同時接続数が25万人を突破し、PS5/Xbox版を含めた総参加者数は前回ベータを上回る規模となっています。特に注目されるのは、前作『モンスターハンター:ワールド』のオープンワールド要素を継承した広大なマップ設計で、砂漠地帯では複数の大型モンスターが同時に出現するダイナミックな戦闘が可能です。
ただし、サーバー負荷テストが主目的だった今回のベータでは、カプコンが事前に「最適化前のビルドを使用する」と告知していた通り、多くのプレイヤーから「フレームレートの不安定さ」や「テクスチャの荒さ」に関する報告が相次ぎました。公式フォーラムには「RTX 4080(日本での実売価格約25万円)でも60fpsを維持できない」という投稿が100件以上寄せられています。
広大な世界観の代償?ハードウェアへの負荷が課題に
『モンスターハンター ワイルズ』最大の特徴であるオープンワールドは、前作比で3倍の広さを持つとされています。地形の高低差や天候変化、多数の生態系が連動する仕組みは評価されていますが、その代償としてハードウェアへの負荷が深刻化しています。ベータ版では特に以下の課題が指摘されました:
- GPU負荷の偏り:荒野での長距離視界描画時に負荷が集中
- VRAM使用量:4K解像度で12GBを超えるケースが確認
- シャープネス設定の不具合:解像度スケーリングを有効にしても画質がぼやける
これを受け、カプコンは1月にベンチマークツールを無料配布。推奨環境を「GPU:GeForce RTX 2070(VRAM 8GB)」から「RTX 2060(6GB)」に下方修正するなど最適化努力を見せています。しかし、ベータ版にはこれらの改善が反映されておらず、プレイヤー間では「最終版までにどれだけ改善されるか」が最大の関心事となっています。
コンソール版は安定稼働?各プラットフォームの比較
現在のベータテストでは、PS5/Xbox Series X|S/PCの全プラットフォームが対象です。興味深いのはパフォーマンスの違いで:
- PS5版:ダイナミック4K/60fps(戦闘時に45-55fpsまで低下)
- Xbox Series X版:解像度優先モードで1800p維持が困難
- PC版:RTX 4090でも荒野エリアで72fps前後(1% Lowが48fps)
特に注目されるのは、カプコンが新採用した「動的植生システム」です。草むらがモンスターの動きでリアルになびく描写は没入感を高めますが、物理演算処理がGPUに負荷をかけています。デジタルファウンドリーの分析によれば、ベータ版の描画負荷は『モンスターハンター:ライズ』比で230%増加しています。
2月13日から第3弾テスト!最終調整への期待
カプコンは2月13日~16日に最終ベータテストを実施予定です。主な改善ポイントとして:
- テクスチャストリーミングの最適化
- DLSS/FSR 3.1の正式対応
- マウント操作時のカメラ挙動調整
が告知されています。特にPC版では、Steam DeckなどのポータブルゲーミングPCでも30fps安定動作を目指す方針です。現状のベータ版では、Steam Deck OLED(解像度1280×800)で中画質設定時、フレームレートが22-28fps程度と厳しい数値が出ています。
まとめ:期待と不安が交錯する大型タイトル
『モンスターハンター ワイルズ』はシリーズ史上最大規模の開発費を投じた野心作です。25万人超えのベータ参加数が示す通り、プレイヤーの期待は絶大です。一方で、オープンワールド化に伴う技術的課題は予想以上に深刻で、特に**「広大なマップと高フレームレートの両立」**が成否の鍵を握ります。
カプコンは過去に『モンスターハンター:ワールド』PC版で初期最適化に失敗した経験から、今回はベンチマークツール早期公開など改善姿勢を見せています。2月28日の発売まで残り3週間、開発陣がどれだけパフォーマンス向上を実現できるか。ゲーマーだけでなくPCハードウェア業界からも注目が集まっています。