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2025年5月8日
AM5 を買うか迷っている人に、大きな材料が出てきました。
AMD は Computex 2026(2026年6月1日)で、Socket AM5 のサポートを 2029年まで延長する と公式にコミットしました。従来の「2027年以降サポート継続」という曖昧な表現から、明確な年号を出してきました。この差は小さくありません。
この記事でわかること
AMD はこれまで「AM5 サポートは2027年以降も継続する」と述べていたが、今回 Computex 2026 で初めて「2029年まで」と年号を明示した。
これが意味するのは、Zen 4(Ryzen 7000)・Zen 5(Ryzen 9000)に続き、Zen 6 および Zen 7 も同一ソケットで動作する可能性が高いということです。マザーボードを買い替えずに2世代先の CPU に乗り換えられる計算になります。
AM5 が登場したのは2022年。2029年まで使えるとすれば7年間。AM4 の10年には及ばないものの、PC プラットフォームとしては十分すぎる寿命です。
ここが本質だと思っています。「2029年まで」というコミットを正しく評価するには、AMD がこれまでどれだけ約束を守ってきたかを見る必要があります。
AM4 ソケットは2016年に登場し、今回の Computex 2026 でその10周年を迎えました。Ryzen 1000(Zen)から始まり、Zen+、Zen 2、Zen 3 と4世代にわたって同一ソケットをサポートし続けました。これは「言っただけ」ではなく、実際に製品を出し続けた実績です。
AMD はこの10周年を記念して Ryzen 7 5800X3D の10周年アニバーサリーエディション を発表し、6月25日に $349(約54,000円) での発売を予定しています。元の2022年当時の $449(約70,000円)より $100 安い価格設定で、AM4 プラットフォームへの最後の花道を用意した形です。
この「実績 + 10周年記念製品」のセットは、AMD が単に将来の約束をするだけでなく、プラットフォームへのコミットメントを行動で示してきた会社であることを象徴しています。
AM5 サポート延長と同時に、AMD は EXPO Ultra Low Latency(EXPO ULL) という新しいメモリ標準も発表しました。
EXPO はすでに AMD 版の XMP(メモリ自動オーバークロック規格)として機能していましたが、ULL はそれをさらに進化させたものです。
| 比較対象 | AMD 公称の向上幅 | 補足 |
|---|---|---|
| 標準 JEDEC DDR5(DDR5-5600 CL46)比 | 平均 FPS +13% | EXPO ULL の DDR5-6000 CL30 使用時 |
| 従来 EXPO 比 | 平均 FPS +4% | 同上 |
| 従来 EXPO 比(1% Low) | 1% Low FPS +15% | フレーム落ち込みの低減効果 |
いずれも AMD パフォーマンスラボによる Ryzen 7 9700X・30本超のゲーム平均(2026年3月時点)の公称値です。
EXPO ULL 対応メモリは2026年6月から提供開始。G.SKILL、Kingston FURY、KLEVV、Lexar、TeamGroup、V-Color、XPG の7社が認定パートナーとして参加しています。
技術的には DDR5 の CAS レイテンシ(CL)タイミングを詰めることで性能を引き上げる仕組みです。AMD は平均 FPS だけでなく 1% Low FPS で従来 EXPO 比 +15% という数字も公表しており、これはフレームレートの最低値(カクつきの起きやすい瞬間)が改善することを意味します。平均値より体感に直結する指標なので、ゲーミング用途では見逃せません。ただし、どのタイミングをどう詰めているかという内部的な具体策や、レイテンシの実測値(ns)までは現時点で未開示のため、細部は対応メモリのレビューを待つ必要があります。
ゲーミングに直接効いてくる数字です。AM5 プラットフォームで使い続けるほど、新しいメモリ規格のメリットを享受できるという意味で、サポート延長と EXPO ULL はセットで評価すべき発表です。
この流れ、見過ごせませんよね。CPU 単体の性能比較とは別に、「どのプラットフォームにお金を投じるか」という視点が自作 PC の世界では常に問われます。
AM5 が2029年まで使えるということは、今 AM5 マザーボードを購入すれば、少なくとも2世代(Zen 6・Zen 7)の CPU 乗り換えが同一マザーで完結するということです。マザーボードの単価を考えると、これは無視できないコスト差になります。
Intel は Nova Lake を2026年後半に投入することを公式に認めており、現行 LGA1851(Arrow Lake)からの新ソケット移行が見込まれます。つまり LGA1851 ユーザーは、Nova Lake へ進むなら否応なくマザーボードの買い替えが必要になります。
ここで一点、注意して切り分けておくべきことがあります。Intel は Computex 2026 のインタビューで「ソケット寿命について(ユーザーの声に)耳を傾けている」と述べてはいますが、新ソケット名「LGA1954」や、それで Nova Lake・Razor Lake・Hammer Lake の複数世代をサポートするという話は、現時点ではリーク報道ベースの情報であり、Intel が公式にコミットしたものではありません。 この点は混同しないようにしたいところです。
そして、ここに両者の差が明確に出ます。Intel 側はあくまで「ソケット寿命を検討している」という姿勢の表明と、未確定のリーク情報の段階です。一方の AMD の AM5 延長は、AM4 で10年間・4世代の実配当を出してきた会社が、年号まで明示してコミットした約束です。
どちらを信頼するかは、実績の重みで判断するのが合理的だと思っています。
関連する Intel 側の分析: Intel LGA1954ソケットの将来像と自作PC戦略への影響
もう一点重要な事実があります。AM5 マザーボードはすでに市場に大量流通しており、B650・X670 系のミドルレンジ価格帯も成熟しています。2029年まで使える前提が成立するなら、今 AM5 でシステムを組む判断の合理性は高まります。
逆に言うと、AM4 で延命を続けているユーザーが AM5 へ移行するタイミングとして、このアナウンスは背中を押す材料になりえます。
日本の自作 PC 市場では、AM4 から AM5 への移行がまだ完全には進んでいないユーザー層が存在します。理由は単純で、AM4 のコスパが依然として高く、乗り換えの動機が弱かったからです。
今回の「2029年までサポート」という明示は、この層への明確なメッセージになります。
円換算で現実的な AM5 入門コストを見ると、B650 マザーボード + Ryzen 7000 シリーズの組み合わせで 15〜20万円前後のシステム構成が可能な状況です。そこに EXPO ULL メモリが加わることで、メモリ性能面でも以前より魅力的な環境が整います。
また、Ryzen 7 5800X3D 10周年エディション($349 / 約54,000円)は AM4 ユーザーへの最終グレードアップ選択肢としても興味深い。現行 AM4 システムを最高性能に仕上げてから、次のサイクルで AM5 に移行するという戦略も成立します。
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Q: 今 AM5 マザーボードを買って、Zen 6 や Zen 7 に乗り換えられるのか? A: AMD の公式コミットメントに従えば、可能です。ただし BIOS アップデートへの対応はマザーボードメーカーに依存するため、B650A 以降の比較的新しいモデルを選ぶのが安全策です。
Q: EXPO ULL メモリは今すぐ買える? A: G.SKILL や Kingston など7社から2026年6月中に発売予定です。現在 AM5 で DDR5-6000 を使っているユーザーが乗り換えるケースが想定されます。
Q: Intel に乗り換えるメリットはあるか? A: Nova Lake 待ちという選択肢は当然あります。ただし、Nova Lake の新ソケットでの複数世代サポートはまだリーク報道の段階で Intel の公式コミットではないこと、AM5 が既に成熟したエコシステムを持つこと、この2点を踏まえたうえで判断するのが適切です。
少し先を読むと、2027〜2028年にかけて AM5 の Zen 6 世代が出そろい、「マザーボード据え置きで CPU だけ更新」という自作民の理想的なアップグレードパスが普通のこととして定着していく絵が見えてきます。AMD がそれを維持できれば、Intel が LGA1954 の実績を積む前に、プラットフォーム選びの議論が終わってしまうかもしれません。
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Source: AMD公式ブログ / Tom’s Hardware / TechPowerUp / VideoCardz