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2026年5月6日
スペックシートを読む限り、FSR 4.1 の変更点は「精度の改善」「Ray Regeneration の強化」「Ultra Performance モードの底上げ」の3点です。いずれも定性的な表現が多く、独立した定量ベンチマークが出るまでは数字として語れません。ただし、ソニー PS5Pro用の新しい PSSR と共有アルゴリズムを採用した点は技術的に注目に値します。ここでは判明している事実を整理しておきます。
この記事でわかること
AMD は 2026年3月19日、FSR(FidelityFX Super Resolution)のバージョン 4.1 を正式リリースしました。対応するのは Radeon RX 9000 シリーズのみです。
FSR はバージョン 1〜3 まで幅広い GPU で動作する汎用アップスケーリング技術でした。FSR 4 から ML(機械学習)ベースのアルゴリズムに移行し、対応ハードウェアが RDNA 4 アーキテクチャ搭載の RX 9000 シリーズに限定されています。FSR 4.1 はその FSR 4 の改良版という位置づけです。
| シリーズ | アーキテクチャ | FSR 4.1 対応 |
|---|---|---|
| Radeon RX 9000 シリーズ | RDNA 4 | 対応 |
| Radeon RX 7000 シリーズ | RDNA 3 | 非対応 |
| Radeon RX 6000 シリーズ | RDNA 2 | 非対応 |
| NVIDIA GPU(各世代) | — | 非対応 |

RX 9000 シリーズとしては現時点で RX 9070 XT・RX 9070 が発売済みです。今後追加される RX 9000 シリーズ製品も対応対象となります。
AMD が発表した FSR 4.1 の改善点は大きく3つです。
FSR 4(および 4.1)は ML ベースのアルゴリズムを採用しています。FSR 4.1 では、このアルゴリズムが更新され、低解像度フレームから高解像度フレームを生成する際の細部再現性が改善されています。
具体的には、テクスチャのエッジ・細かいジオメトリ・遠景の描写精度が向上しています。特にカメラが移動する際の輪郭のゴースト(ぼやけや残像)が抑制されています。
Ray Regeneration は FSR のレイトレーシング向け補助機能です。レイトレーシングでは解像度を下げると光の反射・影・アンビエントオクルージョンの品質が低下しますが、Ray Regeneration が欠落したレイ情報を補完します。
FSR 4.1 ではこの Ray Regeneration の精度が改善されており、レイトレーシング有効時の映像品質がより安定します。反射面や複雑な光源を含むシーンでの効果が大きいとされています。
Ultra Performance モードは最も強い解像度スケーリングを行うモードです(例:1080p 出力を 540p 入力から生成)。スケーリング比が高いほどアーティファクト(映像の乱れ)が生じやすくなりますが、FSR 4.1 では ML アルゴリズムの改良によりこのモードでの品質が向上しています。
Ultra Performance モードで許容できる映像品質が得られれば、FPS への恩恵が最も大きくなります。
| 改善項目 | 内容 |
|---|---|
| ML アップスケーリング精度 | カメラモーション時のゴースト抑制・細部再現性向上 |
| Ray Regeneration | レイトレ有効時の反射・影品質の安定化 |
| Ultra Performance モード | 最高スケーリング比での映像品質向上 |
| Sony PSSR との共有アルゴリズム | 更新版 PSSR と同一のアルゴリズムを採用 |
スペックシートを読む限り、FSR 4.x が RDNA 4 専用である理由は ML 処理ユニットの有無に集約されます。
RDNA 4 には機械学習演算を高速処理するための専用ハードウェア(AI アクセラレーター)が搭載されています。FSR 4 の ML ベースアルゴリズムはこのハードウェアを前提とした設計です。RDNA 3 以前には同等のハードウェアがないため、同じアルゴリズムをそのまま動かすことができません。
| アーキテクチャ | 搭載 GPU | AI アクセラレーター | FSR 4.x 対応 |
|---|---|---|---|
| RDNA 4 | RX 9000 シリーズ | あり(専用ハードウェア) | 対応 |
| RDNA 3 | RX 7000 シリーズ | 限定的(汎用 shader 演算) | 非対応 |
| RDNA 2 | RX 6000 シリーズ | なし | 非対応 |
RDNA 3 でも汎用 shader を使えば ML 演算は可能ですが、処理速度が大幅に落ちます。実用的なフレームレートを維持しながらリアルタイム ML アップスケーリングを動かすには、専用ハードウェアが必要です。理論値はともかく、実際のゲームで出る FPS は別の話です——専用ユニットなしでは ML の計算コストがフレームレートを圧迫します。
今回の FSR 4.1 では、ソニー の PlayStation Spectral Super Resolution(PSSR)の更新版と共有のアルゴリズムを採用しています。
PSSR は PlayStation 5 Pro に搭載された ML ベースのアップスケーリング技術です。AMD と Sony は GPU アーキテクチャレベルで協業関係にあり(PS5 Pro の GPU も AMD 製)、アルゴリズムの共有は技術的に自然な流れです。
PSSR との共通化が意味するのは、コンシューマー機向けに最適化・検証されたアルゴリズムが PC 向けにも適用されるということです。コンソール環境はハードウェア構成が固定されているため、最適化の密度が高くなります。その知見が FSR 4.1 に反映されている点は、純粋に技術的なアドバンテージとして評価できます。
結論から言うと、FSR 4.1 の恩恵は RX 9000 シリーズ以外には届きません。
RX 7000・6000 シリーズのユーザーが利用できるのは引き続き FSR 3.x です。FSR 3 はシェーダーベースの空間アップスケーリングと Frame Generation(フレーム補間)を組み合わせた技術で、幅広い GPU で動作しますが、ML ベースではありません。
| 技術 | 対応 GPU | 方式 | 特記 |
|---|---|---|---|
| FSR 4.1 | RX 9000 のみ | ML ベース | 今回のリリース |
| FSR 3.x | RX 7000 / 6000 / その他 | シェーダーベース | 引き続き利用可 |
| FSR 3 Frame Generation | RDNA 3 以降 | フレーム補間 | RX 7000 は対応 |
AMD は RDNA 3(RX 7000 シリーズ)への FSR 4 拡張については現時点で発表していません。拡張の可能性は否定されていませんが、確約もされていない状況です。
RDNA 4 への移行を検討しているユーザーにとっては、FSR 4.1 対応は判断材料のひとつになります。ただし、FSR 4.1 単体でアップグレードを判断するには、独立したベンチマークデータが必要です。
ベンチを回してみると話は変わってきます——FSR 4 の改善が実際のゲームタイトルでどの程度の FPS 差として現れるかは、サードパーティの検証が出るまで断言できません。
現時点で言えることを整理します。
判断材料として使えるもの: – AMD 公式の定性的な改善説明(精度・品質の向上) – FSR 4 対応タイトルでの動作確認 – ソニー PSSR との共有アルゴリズムという技術的根拠
判断材料として使えないもの: – 「◯%向上」といった公式定量データ(現時点で未公表) – 実ゲームでの FPS 比較(独立ベンチが必要) – RDNA 3 への拡張予定(未発表)
理論値はともかく、実際のゲームで出る FPS は別の話です。アップスケーリング品質の改善は「同じ設定でのFPS向上」と「同じFPS での画質向上」のどちらとして現れるかもタイトルによって異なります。Cyberpunk 2077、Alan Wake 2 のようなレイトレーシングを多用するタイトルでは Ray Regeneration の改善が効果的に出る可能性がありますが、実測なしに断定はしません。
Q1. RX 9070 / 9070 XT で FSR 4.1 はすぐ使えますか?
A. ドライバーをアップデートすれば利用可能です。ただし、FSR 4.1 対応タイトルでのみ機能します。全ゲームに自動適用されるわけではなく、ゲーム側が FSR 4 / 4.1 に対応している必要があります。
Q2. RX 7900 XTX など RDNA 3 では FSR 4.1 は使えませんか?
A. 現時点では使えません。FSR 4.x は RDNA 4 専用です。RX 7000 シリーズでは FSR 3.x を引き続き利用できます。RDNA 3 への FSR 4 拡張については AMD から正式な発表はありません。
Q3. NVIDIA GPU ではどうですか?
A. FSR 4.1 は AMD GPU 専用です。NVIDIA ユーザーは DLSS 4(RTX 40 / 50 シリーズ)または FSR 3.x(GPU 問わず利用可)が選択肢になります。
数字が出てからが本番です。続報を待ちます。
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