AMDの最新フラッグシップiGPUであるRadeon 890Mが、Geekbenchのベンチマークで非常に優れた性能を示しました。特にVulkanベンチマークにおいて、TuringベースのGeForce RTX 3050と同等の性能を発揮し、AMDの主張するRDNA 3とRDNA 3.5の32%の性能差を裏付ける結果となっています。
本記事では、Radeon 890Mの性能を詳しく分析し、競合製品との比較を行います。
Geekbenchのベンチマーク結果詳細
AMDの新しいStrix Point Ryzen AI 9 HX370のベンチマーク結果が公開され、2024年7月28日に予定されている新しいラップトッププラットフォームの発表が期待されています。今回のベンチマークでは、Zen 5とRDNA 3.5のStrix Pointの組み合わせが際立っており、特にRyzen 9 HX 370のRadeon 890M iGPUが高い注目を集めています。
AMD Ryzen AI 300 シリーズ プロセッサ
AMD Ryzen AI 300シリーズプロセッサには、AMD Ryzen™ AI 9 HX 370とAMD Ryzen™ AI 9 365があります。これらのプロセッサは、最新のAIアクセラレーション機能を備え、優れた計算能力と効率を提供するために設計されています。
AMD Ryzen™ AI 9 HX 370
- グラフィックスモデル: AMD Radeon™ 890M
- CPUコア数: 12
- スレッド数: 24
- 最大ブーストクロック: 最大 5.1 GHz
- ベースクロック: 2 GHz
- グラフィックスコア数: 16
- AMD Ryzen™ AI: 利用可能
AMD Ryzen™ AI 9 HX 370は、最高のパフォーマンスを求めるユーザー向けに設計されています。12コア24スレッドの強力なCPUと、16のグラフィックスコアを持つAMD Radeon™ 890Mにより、重い作業や最新のゲームも快適にこなすことができます。最大ブーストクロックは5.1 GHzで、ベースクロックは2 GHzと、非常に高い処理能力を誇ります。
AMD Ryzen™ AI 9 365
- グラフィックスモデル: AMD Radeon™ 880M
- CPUコア数: 10
- スレッド数: 20
- 最大ブーストクロック: 最大 5 GHz
- ベースクロック: 2 GHz
- グラフィックスコア数: 12
- AMD Ryzen™ AI: 利用可能
AMD Ryzen™ AI 9 365は、ハイパフォーマンスと効率を両立させる設計です。10コア20スレッドにより、マルチタスクや並列処理に優れており、12のグラフィックスコアを持つAMD Radeon™ 880Mにより、高いグラフィックス性能を提供します。最大ブーストクロックは5 GHzで、ベースクロックは2 GHzと、さまざまな用途に対応できる性能を備えています。
タイトル | グラフィックス モデル | CPU コア数 | スレッド数 | 最大ブースト クロック | ベース クロック | グラフィックス コア数 | AMD Ryzen™ AI |
---|---|---|---|---|---|---|---|
AMD Ryzen™ AI 9 HX 370 | AMD Radeon™ 890M | 12 | 24 | 最大 5.1 GHz | 2 GHz | 16 | 利用可能 |
AMD Ryzen™ AI 9 365 | AMD Radeon™ 880M | 10 | 20 | 最大 5 GHz | 2 GHz | 12 | 利用可能 |
AMD Ryzen AI 300 シリーズ プロセッサ 公式ページ
Geekbenchベンチマーク結果
Geekbench 6.3 Vulkanベンチマークスコア
- Radeon 890M: 46,298点
- GeForce RTX 3050(平均): 39,691点
OpenCLテスト
- Radeon 890M: 42,923点
- GeForce RTX 3050: やや上回る性能
OpenCLでは42,923点と、RTX 3050には若干及ばないものの非常に印象的な結果となっています。Radeon 890Mの性能は、さらなるドライバアップデートやリビジョンによってさらに向上する可能性があります。
RDNA 3との性能差
- AMDの主張: RDNA 3.5はRDNA 3より32%高速
- 実測: Radeon 890M(RDNA 3.5)はRadeon 780M(RDNA 3)より32%以上高速
今回のテストリグでは1,868 MT/sのメモリが使用されており、これはDDR5としては遅い速度です。しかし、AMDはRDNA 3.5が15ワットでRDNA 3より約32%高速であると発表しており、今回のGeekbenchスコアもその発表を裏付けています。Radeon 890Mの消費電力は特定されていませんが、前世代のRadeon 780M(平均28,878点)よりも確実に32%以上速い結果となっています。
他社製品との比較
- Intel Arc 140V Xe2 Battlemage GPU: 34,181点
- Qualcomm: 具体的なスコアは不明だが、AMDが優位
この結果からも、Radeon 890MはdGPUクラスの性能を持ち、Intelの同等クラスのiGPUに対しても優位性を示しています。Lunar Lakeが生の性能でAMDを上回ることは現時点では難しいでしょう。しかし、Intelはワットあたりの性能で優れた結果を示す可能性があります。
今後の展望
- ドライバアップデートによる更なる性能向上
- 7月28日の新ラップトッププラットフォーム発売
Strix Pointプラットフォームは、Zen 5アーキテクチャのCPUとRDNA 3.5アーキテクチャのiGPUを組み合わせた強力な性能を提供し、7月28日に発売予定です。今後のドライバアップデートやリビジョンによって、さらなる性能向上が期待されます。
まとめ
AMDのRadeon 890Mは、dGPUクラスの性能を発揮し、今後のドライバアップデートやリビジョンでさらなる向上が期待されます。従来のiGPUの概念を覆す高性能を実現。GeForce RTX 3050に迫る性能は、ノートPCの軽量化と高性能化の両立に大きく貢献するでしょう。今後のアップデートや競合他社の動向にも注目が集まります。