中国のポータブルゲーミングPCメーカーOne-Netbook が、AMD StrixPointシリーズを搭載した新型機「ONEXFLY F1 Pro」のベンチマーク結果を公開しました。これは新世代APUを搭載したポータブルゲーミングPCとして初めての直接比較となります。
F1 Proは、Ryzen AI 9 365もしくはRyzen AI 9 HX 370のいずれかを搭載して提供される予定です。両APUともZen5コアを採用していますが、365が10コア構成であるのに対し、370は12コア構成となっています。
iGPUスペックの違いに注目
特に注目すべき違いはGPUにあります。365はRadeon 880M RDNA3.5グラフィックスを搭載し、12のコンピュートユニット(Radeon 780Mと同数)を備えています。一方、HX 370はRadeon 890Mグラフィックスを搭載し、16のコンピュートユニットを実装しています。
メモリ構成と性能比較
F1 ProとROG Ally Xは共にLPDDR5X-7500メモリを採用していますが、ROG Ally Xが24GBであるのに対し、F1 Proは32GBまたは64GBのオプションが用意される予定です。
ベンチマーク結果の詳細
テストは4つの異なる電力設定(30W/25W/20W/15W)で実施されました。Cyberpunk 2077ではHX 370の30W時の数値が、Black Myth: Wukongでは25W時の数値が公開されています。
平均して、AI 365Xは15%、HX 370は20%の性能向上をROG Ally X(Ryzen Z1 Extreme搭載)と比較して示しています。最小FPS/5%低FPSでも11%から16%の改善が確認されています。
AMD Phoenix 対 Strix Point (FPS)
ゲーム/設定 | ASUS ROG Ally X Ryzen Z1 Extreme Radeon 780M | Onexfly F1 Pro Ryzen AI 9 365 Radeon 880M | Onexfly F1 Pro Ryzen AI 9 HX 370 Radeon 890M |
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サイバーパンク2077 1920×1080, 低設定 | |||
30W | 52.64 (平均) 45.10 (最小) | 60.10 (平均) +14% 50.51 (最小) +12% | 64.26 (平均) +22% 53.71 (最小) +19% |
25W | 51.06 (平均) 43.78 (最小) | 58.18 (平均) +14% 49.41 (最小) +13% | データなし |
20W | 48.12 (平均) 41.10 (最小) | 54.34 (平均) +13% 46.94 (最小) +14% | データなし |
15W | 35.07 (平均) 29.23 (最小) | 43.47 (平均) +24% 35.87 (最小) +23% | データなし |
Black Myth: Wukong (黒神話:悟空) 1920×1080, 低設定 | |||
25W | 61 (平均) 55 (5%最低) | 69 (平均) +13% 59 (5%最低) +7% | 72 (平均) +18% 62 (5%最低) +13% |
20W | 59 (平均) 53 (5%最低) | 65 (平均) +10% 55 (5%最低) +4% | データなし |
15W | 50 (平均) 44 (5%最低) | 58 (平均) +16% 47 (5%最低) +7% | データなし |
この表は、AMD PhoenixとStrix Pointを搭載したハンドヘルドデバイスのゲームパフォーマンスを比較しています。FPS(フレーム/秒)で性能が示されており、パーセンテージはASUS ROG Ally Xと比較した性能向上を表しています
今後の展開
F1 Proは11月末に発売予定で、StrixPoint搭載の商用ポータブルゲーミングPCとしては初となります。AMDは2024年1月に8コア構成のStrixPointオプションを含むRyzen Z2シリーズの発売を予定しています。
まとめ
ONEXFLYのF1 Proは、次世代AMDチップの採用により、現行機種を大きく上回る性能を実現しています。特にHX 370搭載モデルは、最大20%の性能向上を示しており、ポータブルゲーミングPCの新たな基準となる可能性を秘めています。今後、ASUS ROG Ally 2を含む、より多くのメーカーがZ2シリーズを採用した製品を発表することが期待されます。