AMDが「RadeonでAI」を推進する大きな一歩を踏み出しました。最新のROCmアップデートにより、RDNA 3アーキテクチャ上でのML(機械学習)開発のサポートを開始したのです。この動きは、一般のRadeonユーザーにAI開発を身近なものにし、その普及を加速させる可能性を秘めています。
従来、AIアプリケーションや大規模なワークロードは、データセンターのアーキテクチャに限定されていると考えられてきました。しかし、業界は進化を続け、一般消費者向けのGPUでもAI計算を味わえるようになってきています。AMDのRDNA GPUを中心に構築されたTinyBoxのようなシステムは、その可用性を活かしてコストを削減することができますが、ソフトウェアサポートの面では大きく遅れをとっていました。
AMDの革新的なアップデート:ROCm 6.1.3の登場
AMDは今回、Linux 24.10.3およびROCm 6.1.3向けに、RDNA 3 GPU上でAI/MLワークロードを実行するためのサポートを大幅に拡張しました。この変更は数ヶ月前から予想されていたもので、AMDの初期のアップデートに続くものです。
PyTorch、ONNX Runtime、TensorFlowなどの環境で作業する研究者や開発者は、Linux上の最新ROCm 6.1.3を利用することで、AMDのRadeon RX 7000シリーズGPUやワークステーション向けRadeon W7000シリーズGPUのパフォーマンスを活用できるようになりました。AMDによると、RDNA 3アーキテクチャをベースとしたソリューションは費用対効果が高く、ローカライズされたシステムを提供するため、クラウドベースのサービスに存在するすべての欠点を解消できるとしています。
Radeon 7000シリーズGPUの優れた性能
AMDは、最新のハイエンドRadeon 7000シリーズGPUについて、以下のような特徴を挙げています:
- RDNA 3 GPUアーキテクチャを採用
- 前世代と比較して、Compute Unit(CU)あたりのAIパフォーマンスが2倍以上向上
- 最大192個のAIアクセラレータを搭載
- 大規模なMLモデルを処理するために、最大24GBまたは48GBのGPUメモリを提供
これらの特徴により、標準的なハードウェアやAI用に設計されていないソフトウェアでは対応が難しい現在のモデルに対して、コスト効率の高いソリューションを提供することが可能になりました。
ROCm 6.1.3がもたらす新たな可能性
最新のROCm 6.1.3には、PyTorch、TensorFlowのサポートに加え、ONNX Runtimeのより広範なソースデータのサポートが含まれています。これは、需要の高いAIライブラリを追加することで、より広範な採用を可能にするAMDのソフトウェアスタックにとって大きなアップデートです。
RDNA 3 GPUのサポート追加は、「エッジAI環境」を促進するための確実な一歩ですが、この動きにはいくつかのパフォーマンス制約が存在します。今後、ベンチマークが公開されれば、その実力をより詳細に把握できるでしょう。
まとめ
AMDの最新ROCmアップデートは、一般消費者向けのRadeonシステムをローカルAIソリューションに変換する画期的な取り組みです。これにより、AI開発の敷居が大きく下がり、より多くのユーザーがAI技術に触れる機会を得ることができるでしょう。
ハイエンドのRadeon 7000シリーズGPUの性能と、拡張されたソフトウェアサポートにより、家庭やオフィスでのAI開発がより身近なものとなります。この動きは、AIテクノロジーの民主化と革新の加速につながる可能性を秘めており、今後の発展が大いに期待されます。