スマートフォンを使った決済サービスが日々進化を遂げる中、ユーザーの利用実態はどのように変化しているのでしょうか。ITmedia Mobileが実施した最新の読者アンケート結果から、2024年におけるスマホ決済の利用状況と、各サービスが選ばれる理由を詳しく見ていきます。
調査概要
ITmedia Mobileは2024年9月23日から29日にかけて、読者を対象としたアンケートを実施しました。質問内容は、PayPay、d払い、au PAY、楽天ペイの4つの主要スマホ決済サービスのうち、最もよく使用しているものとその理由です。1429件の回答が集まり、各サービスの利用状況や選択理由が明らかになりました。
PayPayが圧倒的シェアで1位に
アンケート結果で最も目立ったのは、PayPayの圧倒的な人気です。回答者の40%にあたる571人がPayPayを「最もよく使うスマホ決済」として選択しました。2位の楽天ペイ(22%、319人)を大きく引き離しての1位獲得となりました。
PayPayが選ばれる理由
PayPayが多くのユーザーに支持される理由として、以下のポイントが挙げられています:
- 利用可能店舗の多さ
- ポイント還元率の高さ
- ソフトバンク/Y!mobileユーザーへの優遇
- 割り勘や送金機能の使いやすさ
特に「利用できる店舗が多い」という声が圧倒的に多く寄せられました。コンビニやレストランチェーンはもちろん、地方の商店街や個人経営の店舗まで幅広く対応している点が、ユーザーの日常的な利用を促進しているようです。
また、ソフトバンクグループのユーザーにとっては、通信サービスとの連携によるポイント還元の恩恵も大きな魅力となっています。PayPayの利用履歴が視覚的に分かりやすい点や、クーポンの豊富さなども選択理由として挙げられました。
楽天ペイ:楽天経済圏ユーザーに人気
2位となった楽天ペイは、全体の22%(319人)のユーザーから支持を得ました。選択理由としては、「楽天経済圏のサービスを利用している」という声が最も多く聞かれました。
楽天ペイが選ばれる主な理由:
- 楽天市場など他の楽天サービスとの連携
- 楽天カードとの相性の良さ
- ポイントの使い道の広さ
- 高いポイント還元率
楽天のオンラインショッピングやクレジットカードサービスを利用しているユーザーにとっては、ポイントの相互利用や高還元率が大きな魅力となっています。また、ポイントの部分使用ができるなど、柔軟な利用方法も支持されているようです。
d払い:ドコモユーザーを中心に支持
3位のd払いは、全体の17%(236人)のユーザーから支持を得ました。選択理由としては、「ドコモユーザーだから」という声が最も多く聞かれました。
d払いが選ばれる主な理由:
- ドコモユーザーであること
- dポイントの利用・蓄積
- Amazonでのポイント付与
- 「eximo ポイ活」の利用
長年のドコモユーザーが、たまったdポイントも含めてd払いを利用しているケースが多いようです。また、2024年8月に開始された「eximo ポイ活」サービスの影響も見られました。
au PAY:auユーザーを中心に一定の支持
4位のau PAYは、全体の13%(185人)のユーザーから支持を得ました。選択理由としては、「auやUQ mobileのユーザーであること」が最も多く挙げられました。
au PAYが選ばれる主な理由:
- auまたはUQ mobileユーザーであること
- Pontaポイントとの連携
- 使用可能店舗の多さ
- auクレジットカードとの相性の良さ
auの通信サービスやクレジットカードとの連携、Pontaポイントの利用のしやすさが、ユーザーにとっての魅力となっています。
スマホ決済を利用しない理由
一方で、これら4つのサービスをいずれも利用していないという回答も118件ありました。その主な理由として以下が挙げられています:
- クレジットカード、Suica、Visaタッチなど他のキャッシュレス決済の利用
- アプリ起動の手間
- 使い方への不安
- セキュリティへの懸念
特に、クレジットカードのタッチ決済やSuicaなどの交通系ICカードの方が、アプリを起動する必要がなく便利だという意見が多く見られました。
まとめ:2024年のスマホ決済市場の展望
今回の調査結果から、2024年のスマホ決済市場においてPayPayが圧倒的な強さを見せていることが明らかになりました。利用可能店舗の多さや、ポイント還元の魅力が評価されている一方で、各キャリア系のサービスもそれぞれのユーザー基盤を活かした戦略で一定のシェアを確保しています。
今後は、さらなる利便性の向上や、セキュリティ面での信頼性アピール、他のサービスとの連携強化などが、各社の競争ポイントになっていくでしょう。また、まだスマホ決済を利用していないユーザー層へのアプローチも重要になってくると予想されます。
キャッシュレス決済がますます日常に浸透する中、各社のサービス改善や新機能の追加にも注目が集まります。ユーザーにとっては、自身のライフスタイルや利用頻度に合わせて、最適なサービスを選択することが重要になってくるでしょう。