AMDが2025年3月に発売を予定する「Radeon RX 9070 XT」と「RX 9070」は、次世代アーキテクチャ「RDNA 4」を搭載したミドルハイレンジGPUです。リークされた情報によると、RX 9070 XTは「Navi 48」GPUを採用し、4,096基のストリームプロセッサと16GB GDDR6メモリ（256-bitバス幅）を搭載。最大ブーストクロックは3.1 GHzに達し、PCIe 5.0対応で最新プラットフォームとの親和性も高いとされています。
電力効率の向上やAIアクセラレーションの強化が図られたRDNA 4は、前世代のRDNA 3と比べて約15%の性能向上が期待され、特にレイトレーシング性能はRTX 4070 Ti SUPER並みと評価されています。一方、競合のNVIDIA RTX 5070シリーズがGDDR7を採用する中、AMDはGDDR6を選択した点が注目されますが、大容量VRAMと帯域幅のバランスで対抗する構えです。
リークされた価格設定：NVIDIAを圧倒するコストパフォーマンス
最大の焦点は価格戦略です。カナダの小売店リストによると次のように掲載されています。
RX 9070 XTシリーズ
- PowerColor Red Devil RX 9070 XT 16GB
CAD: $1,239 / 約USD: $865 / 日本円: ¥129,750 - PowerColor Red Devil RX 9070 XT 16GB（別モデル）
CAD: $1,099 / 約USD: $767 / 日本円: ¥115,050 - PowerColor Hellhound RX 9070 XT 16GB
CAD: $1,049 / 約USD: $732 / 日本円: ¥109,800 - PowerColor Reaper RX 9070 XT 16GB
CAD: $1,099 / 約USD: $697 / 日本円: ¥104,550 - XFX Mercury RX 9070 XT OC White Magnetic Air RGB 16GB
CAD: $1,229 / 約USD: $856 / 日本円: ¥128,400 - XFX Mercury RX 9070 XT OC Magnetic Air RGB 16GB
CAD: $1,199 / 約USD: $837 / 日本円: ¥125,550 - XFX Mercury RX 9070 XT OC White Gaming RGB 16GB
CAD: $1,189 / 約USD: $830 / 日本円: ¥124,500 - XFX Quicksilver RX 9070 XT White Magnetic Air 16GB
CAD: $1,159 / 約USD: $809 / 日本円: ¥121,350 - XFX Mercury RX 9070 XT OC Gaming RGB 16GB
CAD: $1,159 / 約USD: $788 / 日本円: ¥118,200 - XFX Swift RX 9070 XT White Triple Fan Gaming 16GB
CAD: $1,099 / 約USD: $767 / 日本円: ¥115,050
RX 9070シリーズ
- XFX Swift RX 9070 White Triple Fan Gaming 16GB
CAD: $949 / 約USD: $662 / 日本円: ¥99,300 - PowerColor Red Devil RX 9070 16GB
CAD: $919 / 約USD: $641 / 日本円: ¥96,150 - PowerColor Hellhound RX 9070 16GB
CAD: $879 / 約USD: $614 / 日本円: ¥92,100 - PowerColor Reaper RX 9070 16GB
CAD: $839 / 約USD: $586 / 日本円: ¥87,900 - XFX Quicksilver RX 9070 OC Gaming 16GB
CAD: $949 / 約USD: $662 / 日本円: ¥99,300
これは、NVIDIAのRTX 5070やRTX5070Tiを約20%ほど下回る価格帯です。AMDが「性能対価格比」で優位性を狙う姿勢が明確に現れています。
当初、AMDはRX 9070 XTを$899（約134,850円）で発売する計画でしたが、NVIDIAの価格発表を受けて戦略を変更。最終的にはRTX5070Tiと同等性能で$699前後に抑える方向で調整が進んでいるとみられています。特にリファレンスモデルは$479（約71,850円）というリークもあり、日本市場では10万円前後での販売が予想されます。
性能比較：NVIDIA RTX 5070シリーズとの対決
ゲーム性能では、RX 9070 XTが1080p解像度で平均211.71 FPS（『モンスターハンターワイルズ』）を記録し、RTX 4080 SUPERを上回る可能性が示唆されています。ラスタライズ性能はRTX 4080 SUPER相当、レイトレーシングはRTX 4070 Ti SUPER並みとされ、RTX 5070に対しては総合的な優位性が期待されます。
ただし、NVIDIAがDLSS 4やAIフレーム生成技術で先行する点は無視できません。AMD側もFSR 3.0の改良で対抗を図りますが、ソフトウェア面での差が性能差に影響する可能性があります。
発売延期の背景と市場戦略
当初は2025年1月24日発売とリークされていたRX 9070シリーズですが、NVIDIAの価格戦略に対応するため、発売が3月に延期されました。AMDは量販店との価格調整に難航し、販売報奨金の負担増加や代理店との資金繰り問題が背景にあったとされています。
この延期により、AMDはRTX 5070シリーズの市場反応を分析し、価格やマーケティング戦略を再構築する時間を確保。特に日本市場では、為替変動や代理店の「アスク税」が価格に影響を与えるため、10万～12万円台での落ち着きが予測されます。
※「アスク税」：日本代理店のASKが設定する輸入マージン
ユーザー評価と懸念点
- メリット
- 16GB VRAMによる将来性の高さ（4Kゲームや高解像度テクスチャに対応）
- PCIe 5.0対応でデータ転送速度が向上
- NVIDIA比で約20%安い価格設定
- デメリット
- GDDR6Xを採用するNVIDIAに比べ、メモリ帯域幅で劣る可能性
- 消費電力が330Wと高め（RTX 5070 Tiは300W前後）
- ソフトウェア面（DLSS対FSR）での性能差
まとめ：ミドルレンジGPU市場の新たな選択肢
AMD Radeon RX 9070シリーズは、NVIDIAに対する明確な価格優位性と、十分なゲーム性能を兼ね備えた「バランス型GPU」として注目されます。特に、10万円前後でRTX 5070 Ti並みの性能を提供する可能性は、予算重視のゲーマーやクリエイターにとって魅力的です。
ただし、発売延期や為替リスク、ソフトウェア面の課題も無視できません。3月の発売後は、実際のベンチマークや価格変動を注視しつつ、NVIDIAとの比較検討が重要となるでしょう。AMDが「コストパフォーマンスの王者」としての地位を奪還できるか、今後の動向から目が離せません。
※価格・性能はリーク情報に基づく推定値です。正式発表時には変更される可能性があります。
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