AMDは新世代GPU「Radeon RX 9070 XT($599/¥89,850)」と「RX 9070($549/¥82,350)」を正式に発表しました。これらは最新のRDNA 4アーキテクチャを採用し、ゲーミング向けに最適化された性能と効率性を両立。3月6日より全世界で発売されます。
RDNA 4の戦略:高性能と低価格層への集中
AMDが今回発表したのは、RX 9070 XTとRX 9070の2モデルのみ。従来の「RX 7900 XTX」や「RX 7900 XT」の後継となる上位モデルは未発表ですが、AMDは「主要なゲーマー層が購入する価格帯($500~$600/¥75,000~¥90,000)にリソースを集中させる」と説明しています。NVIDIAが超高性能な「RTX 5090」のようなモデルを展開する一方、AMDは「高コストパフォーマンス」を武器に市場シェア拡大を目指す姿勢です。
スペック比較:RX 9070 XT vs RX 9070
モデル | コア数 | クロック速度 | メモリ | TBP(消費電力) | 価格 |
---|---|---|---|---|---|
RX 9070 XT | 4,096コア | 最大2.97 GHz | 16GB GDDR6 | 220W | $599(¥89,850) |
RX 9070 | 3,584コア | 最大2.52 GHz | 16GB GDDR6 | 220W | $549(¥82,350) |
RX 9070 XTは、Navi 48 XT GPUを搭載し、4,096個のストリーミングプロセッサを備えます。最大ブーストクロックは2.97 GHzに達し、16GBのGDDR6メモリ(256ビットバス)と64MBの第3世代Infinity Cacheを組み合わせることで、640 GB/sの帯域幅を実現。PCIe 5.0 x16に対応し、220Wの消費電力で動作します。
一方、RX 9070はコア数を3,584に抑えつつ、メモリ容量は16GBを維持。価格を$549(¥82,350)に設定し、競合製品のNVIDIA RTX 5070(12GBメモリ、$549/¥82,350)との差別化を図っています。
公式ベンチマーク:前世代比最大68%の性能向上
AMDが公開した性能比較によると、RX 9070 XTは以下のような結果を記録しています:
- RX 7900 GRE(4K解像度):平均42%高速
- RX 6900 XT(4K解像度):平均51%高速
- RTX 3090(4K解像度):平均26%高速
特にレイトレーシング性能では、7900 GREに対して最大68%の性能差を記録。1440p解像度でも平均38%の向上が確認されています。
ゲーム別パフォーマンス例
- Space Marine 2(4K最高設定):
- ネイティブ描画:43 FPS → FSR 4有効時:191 FPS(4.4倍向上)
- Microsoft Flight Simulator 2024:
- HYPR-RX技術により、ネイティブ比で最大3倍のFPSを実現
AIとコンテンツクリエイションも強化
RDNA 4ではAI処理性能が大幅に向上。RDNA 3と比べてAIワークロードで平均55%、コンテンツ作成タスクで16.25%の効率化を達成。ONNXランタイムを使用した生成AIでは、最大4.1倍の性能向上が確認されています。
価格と競合モデルとの比較
RX 9070 XT($599\¥89,850)は、NVIDIAのRTX 5070 Ti(16GBメモリ、$699/¥104,850予想)と、RX 9070($549/¥82,350)はRTX 5070(12GBメモリ、$549/¥82,350)と競合します。AMDの強みは16GBメモリとFSR 4/HYPR-RX技術によるフレーム生成機能。一方、NVIDIAはDLSS 4との差別化が焦点です。
主なパートナー製品
3月6日より、ASUS、GIGABYTE、玄人志向など複数メーカーからカスタムモデルが発売予定。冷却性能やデザインに差をつけたバリエーションが期待されます。
まとめ:コスパ重視のゲーマーに刺さる新選択肢
AMD Radeon RX 9070シリーズは、4Kゲーミングで前世代を大幅に上回る性能を持ちつつ、$549(¥82,350)~$599(¥89,850)という手頃な価格を実現。FSR 4やHYPR-RXによるフレーム生成技術も強化され、今後のゲームタイトルに対応した将来性も備えます。NVIDIAとの競争激化で、GPU市場の活性化が予想される2025年春。価格対性能比を重視するユーザーにとって、有力な選択肢となるでしょう。
ただし、競合モデルとの実機比較や発売後の在庫状況には注意が必要です。3月6日の発売後、各メディアのレビューを参考に、自身の使用環境に合ったGPU選びをすることが重要です。
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